経理部の精算担当者が、ある営業部員の交通費申請に小さな違和感を覚えました。同じ日付、同じ区間のタクシー代が、1週間の間をおいて2回申請されています。領収書の画像を並べてみると、片方はタクシー会社の領収書、もう片方はクレジットカードの利用明細でした。承認者はどちらも同じ課長で、いずれもそのまま承認されていました。
これは経費精算の現場で起こりうる、ごくありふれた場面です(本記事の事例はすべて架空のモデルケースです)。1件ずつ見れば、どちらの申請にも不備はありません。問題は2件を並べたときに初めて見えてきます。従来の内部監査のように、月に数十件を抜き取って証憑と照合する方法では、こうした「組み合わせの異常」を見つけるのは偶然に頼るしかありません。
経費精算システムやコーポレートカードの普及で、経費のデータは以前よりはるかに扱いやすくなりました。全件を対象に、重複・分割・異常な時間帯などの条件で絞り込めば、数万件の中から確かめるべき数十件を選び出せます。この記事では、経費データの分析監査の考え方と、代表的な検知シナリオの組み立て方を解説します。
この記事の要点
- 経費の不正や誤りは「1件ずつは正常、組み合わせると異常」なことが多く、抜き取り検査より全件データの分析が向いています
- 代表的な検知シナリオは、重複申請、承認限度額や社内基準を避ける分割、深夜・休日・休暇中の利用、端数や金額分布の偏りです
- 分析の結果は「不正の証拠」ではなく「確かめるべき候補」です。誤検知を前提に、例外リストを証憑確認や質問で検証します
- 最初に母集団の網羅性(会計帳簿との一致)を確かめないと、分析結果全体の信頼性が揺らぎます
- 検知条件と結果を調書に残し、翌年以降は継続的なモニタリングにつなげると効果が高まります
なぜ経費精算は分析監査に向いているのか
件数が多く、1件あたりが小さい
経費精算は、社内で最も件数の多い取引の一つです。一方で1件あたりの金額は小さく、財務諸表全体への影響は限られます。このため、財務報告の内部統制の評価では重要性の観点から深く見られないことも多く、統制の弱さが放置されやすい領域です。
しかし、経費の不正は金額以上に組織の風土を映します。小さな水増しが見逃され続けると、「この程度なら許される」という感覚が広がり、より大きな不正の土壌になりかねません。不正のトライアングル(動機・機会・正当化)のうち「機会」を減らす意味でも、経費の監査は内部監査にとって意義のあるテーマです。不正リスクの全体像は不正リスクと内部監査で解説しています。
抜き取り検査の限界
抜き取り検査(サンプリング)は、母集団全体の傾向を推定するのに適した方法です。たとえば「承認手続が守られているか」を確かめるなら、無作為に選んだ数十件で十分な結論を出せます。ところが、経費の不正のように母集団の中にまれにしか存在しない異常を探す目的には向きません。数万件の中の数件を、数十件の抜き取りで見つける確率は非常に低いからです。
さらに、重複申請や分割申請は、2件以上の取引の関係を見なければ発見できません。1件ずつ証憑と照合する手続では、そもそも見つけられない種類の異常です。全件データを対象とする分析(CAAT:コンピュータ支援監査技法)は、この弱点を補うものです。CAATの基本はデータ分析監査(CAAT)入門で紹介しています。
データが揃いやすくなった背景
分析監査が現実的になった背景には、制度とシステムの変化があります。電子帳簿保存法の改正により、2024年1月1日以後に行う電子取引の取引情報は、原則として電子データのまま保存することが求められるようになりました。経費精算システムやコーポレートカードの利用が広がり、申請日時、承認者、支払先、利用日時などが構造化されたデータとして残るようになっています。
また、2023年10月に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、支払先の登録番号をデータとして持つ会社も増えました。登録番号は支払先を一意に識別する手がかりになり、同じ店舗への支出をまとめて分析しやすくなります。
分析の前に:データの準備と母集団の確認
集めるデータ
経費データの分析では、複数のデータを組み合わせることで検知の精度が上がります。まず、次のようなデータを入手できるかを確認します。
| データ | 主な項目 | 分析での使いどころ |
|---|---|---|
| 経費精算データ | 申請番号、申請者、利用日、申請日時、金額、費目、支払先、承認者、承認日時 | すべてのシナリオの基本 |
| コーポレートカード明細 | カード番号、利用日時、加盟店名、業種コード、金額 | 立替精算との重複、利用時間帯 |
| 旅費・出張手配データ | 出張者、行き先、期間、手配済みの交通・宿泊 | 手配済み分の二重請求、出張期間外の利用 |
| 人事データ | 所属、役職、入退社日、休職・休暇の記録 | 休暇中・退職後の利用、承認関係の確認 |
| 勤怠データ | 出勤日、勤務時間帯 | 休日・深夜の利用の妥当性確認 |
母集団の網羅性を最初に確かめる
分析の前に必ず行うべきなのが、入手したデータが対象期間の経費をすべて含んでいるかの確認です。システムから出力した明細の件数と合計金額を、会計帳簿の該当勘定科目の金額と突き合わせます。差異があれば、その理由(計上時期のずれ、手作業での仕訳、別システムで処理された経費など)を説明できるまで調べます。
この手続を省くと、分析結果全体の信頼性が揺らぎます。たとえば、役員の経費だけが別の仕組みで処理されていて出力データに含まれていなかった場合、最もリスクの高い部分が分析から漏れることになります。
データの整形
経費データは、そのままでは分析しにくいことが多くあります。支払先名は表記のゆれ(全角・半角、株式会社の有無、支店名の有無)が多く、同じ店舗が別の名前で登録されています。金額は税込・税抜が混在していたり、外貨建ての換算方法がまちまちだったりします。分析の前に、表記の統一、日付形式の統一、費目コードの対応づけを行い、その処理内容を調書に記録しておきます。

検知シナリオ1:重複申請
典型的なパターン
重複申請は、同じ支出を2回以上精算するものです。うっかりミスによるものも少なくありませんが、意図的な二重請求の手口としても典型的です。パターンは大きく3つに分けられます。
1つ目は、完全一致の重複です。同じ申請者、同じ日付、同じ金額、同じ支払先の申請が複数あるケースです。2つ目は、証憑の種類を変えた重複です。冒頭のモデルケースのように、領収書とカード明細、あるいは領収書と手配済みの出張データで、同じ支出が2回精算されます。3つ目は、申請者を変えた重複です。会食の費用を参加者の2人がそれぞれ申請するケースがこれにあたります。
抽出条件の組み立て
重複の検知では、条件を「厳しい一致」から「ゆるい一致」へ段階的に広げるのが効果的です。最初から条件をゆるめると誤検知が大量に出て、確認作業が回らなくなります。
| 段階 | 一致させる項目 | 見つかる典型例 | 誤検知の例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 申請者・利用日・金額・支払先 | 同じ領収書の二重申請 | 同じ日に同額の往復交通費 |
| 2 | 申請者・利用日・金額 | 領収書とカード明細の二重精算 | 同額の定期的な支出 |
| 3 | 利用日・金額・支払先(申請者は問わない) | 同じ会食を複数人が申請 | チェーン店での同額の個別利用 |
| 4 | 申請者・金額・支払先(利用日±3日) | 利用日を書き換えた再申請 | 定期的な同額の購入 |
誤検知の例にあるように、同じ日に同額の申請がすべて問題というわけではありません。往復の交通費や、同じ店での毎日の昼食会議などは正当な理由で同額になります。抽出後は、領収書の画像や申請の摘要を確かめて一次的に仕分けします。
出張手配データとの突合
見落とされやすいのが、会社が手配した交通・宿泊と個人の立替精算との重複です。出張手配サービスで会社払いの航空券やホテルを予約しているのに、同じ区間や同じ宿泊を立替精算でも申請しているケースがこれにあたります。出張者・日付・行き先を手がかりに両方のデータを結合すると、確認すべき候補を抽出できます。出張をキャンセルしたのに手配済みの費用が返金されていない、といった別の論点が見つかることもあります。
検知シナリオ2:分割申請と閾値付近への集中
なぜ分割が起きるのか
分割申請とは、本来1件の支出を複数の申請に分けることです。多くの会社では、金額に応じて承認者が変わる職務権限規程や、一定額以上の支出に事前申請を求めるルールがあります。分割は、こうした閾値を超えないようにするために行われます。
税務上の基準も分割の動機になりえます。たとえば、得意先等との飲食費のうち1人当たり10,000円以下(2024年4月1日以後の支出。改正前は5,000円以下)のものは、一定の書類保存を要件に交際費等の範囲から除かれます。この基準を意識して、参加人数を実際より多く記載したり、1回の会食を2回に分けて申請したりすることが考えられます。インボイス制度の少額特例(一定規模以下の事業者が2029年9月30日までに行う税込1万円未満の課税仕入れについて、帳簿の保存のみで仕入税額控除を認める経過措置)も、1万円という金額を意識させる要因になります。税務の取扱いは個別事情で異なるため、詳細は国税庁の公式情報や税理士に確認してください。
閾値付近の分布を見る
分割の兆候をつかむ有効な方法は、金額の分布を見ることです。承認限度額が5万円の会社で、49,000円台の申請が不自然に多ければ、限度額を意識した申請が行われている可能性があります。金額帯ごとの件数をグラフにすると、閾値の直前に「山」ができているかどうかが一目でわかります。
同じ申請者が同じ支払先に対して、短い期間に閾値未満の申請を繰り返しているケースも抽出します。たとえば「同一申請者・同一支払先・7日以内・合計が閾値超・各件は閾値未満」という条件です。
ベンフォードの法則の使い方
ベンフォードの法則は、自然に発生した多くの数値データでは、先頭の数字が1である割合が約30%と最も多く、9に向かって少なくなるという経験則です。経費の金額分布がこの法則から大きく外れていれば、人為的な数値が混じっている可能性を示す手がかりになります。
ただし、経費データは定額の手当や価格が決まった商品の購入を多く含むため、もともとこの法則に当てはまりにくい性質があります。ベンフォードの分析は単独で結論を出す手法ではなく、どの金額帯や申請者に偏りがあるかを探る入口として使うのが適切です。
検知シナリオ3:異常な時間帯・日付・状態
時間帯と日付の異常
カード明細や精算システムには、利用日時や申請日時が記録されています。深夜や休日、本人の休暇中の利用は、正当な理由がある場合も多い一方で、私的な利用の兆候にもなります。勤怠データと突き合わせることで、「休暇を取得している日に取引先との会食費が申請されている」といった矛盾を見つけられます。
注意したいのは、業種や職種によって「異常な時間帯」の意味が変わることです。夜間の顧客対応が多い職種では、深夜の交通費は通常の支出です。一律の条件ではなく、部署や職種ごとの平常の分布と比べて外れているものを抽出するほうが、誤検知を減らせます。

状態の異常と承認の異常
人事データとの突合では、退職日以降の利用、休職期間中の申請、異動前の部署の費目での申請など、申請者の状態と合わない取引を抽出します。承認の面では、申請者と承認者が同一の申請、承認者が申請者の部下である申請、申請から数秒で承認された申請などが確認の対象になります。
承認までの時間が極端に短い申請は、承認者が内容を確かめていない可能性を示します。件数が多い承認者については、承認の実態をインタビューで確かめると、統制の形骸化という根本原因に迫れます。
検知シナリオ一覧
主なシナリオを一覧にすると、次のようになります。自社のデータで実施できるものから優先順位をつけて着手します。
| # | シナリオ | 主な抽出条件 | 必要なデータ |
|---|---|---|---|
| 1 | 完全一致の重複 | 申請者・利用日・金額・支払先が一致 | 精算データ |
| 2 | 証憑種類をまたぐ重複 | 立替精算とカード明細で利用日・金額が一致 | 精算データ、カード明細 |
| 3 | 閾値直前への集中 | 承認限度額の95〜100%の金額帯の件数 | 精算データ、職務権限規程 |
| 4 | 短期間の分割 | 同一申請者・同一支払先・7日以内・合計が閾値超 | 精算データ |
| 5 | 休暇中・退職後の利用 | 利用日が休暇・退職日以降 | 精算データ、人事・勤怠データ |
| 6 | 深夜・休日の利用 | 部署別の平常分布から外れた時間帯 | カード明細、勤怠データ |
| 7 | 自己承認・逆承認 | 申請者と承認者が同一、または上下関係が逆 | 精算データ、組織データ |
| 8 | 端数のない金額の多発 | 1,000円単位ちょうどの申請が多い申請者 | 精算データ |
分析結果の検証と調書への記録
例外リストの検証手順
分析で抽出された取引は「例外」であって、不正や誤りの証拠ではありません。例外リストは、次の順序で検証します。まず、領収書の画像や申請の摘要で明らかな誤検知を除きます。次に、残ったものについて申請者や承認者に説明を求め、必要に応じて支払先の記録や出張の実績と照合します。最後に、誤りや不正と判断したものについて、金額の影響と原因を整理します。
申請者への質問は、疑いを前提とした詰問にならないよう注意が必要です。重複申請の多くは単純なミスであり、また不正の疑いがある場合に不用意に接触すると証拠の隠滅につながるおそれもあります。不正の疑いが強い案件は、社内規程に沿って調査の担当部署や法務部門と連携して進めます。
調書の記入例
分析監査の調書には、第三者が同じ結果を再現できるだけの情報を残します。以下は記入例です(架空のモデルケース)。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 目的 | 立替精算とコーポレートカードの二重精算の有無を全件で確かめる |
| 対象期間・母集団 | 2025年4月〜2026年3月、精算データ48,312件(合計額を旅費交通費・会議費・交際費の帳簿残高と照合済み) |
| 抽出条件 | 申請者・利用日・金額(税込)が一致し、一方が立替精算、他方がカード明細のもの |
| 使用ツール・処理 | BIツールで両データを申請者IDと利用日で結合(クエリを別紙に保存) |
| 抽出結果 | 57件 |
| 一次仕分け | 証憑確認で誤検知41件(同日同額の別取引)を除外 |
| 検証結果 | 16件のうち14件が二重精算(合計186,400円)。いずれも本人の誤りと判断し返金手続済み。2件は正当な別取引 |
| 原因と提言 | 精算システムにカード明細との自動照合機能がない。照合機能の導入と、承認時の確認観点の明確化を提言 |
報告の仕方:件数より「仕組み」を伝える
分析監査の結果を報告するときは、「二重精算14件、186,400円」という数字だけを示すと、金額が小さいために重要でないと受け止められがちです。報告の軸は、なぜその誤りが承認を通過したのか、同じ仕組みで他にどのような誤りや不正が起こりうるのかという、統制上の弱点に置きます。
また、分析した母集団の件数と、どのシナリオで何を確かめたかを示すことも大切です。「48,312件を8つの条件で全件確認した結果、重要な異常は二重精算の1類型に限られた」と書けば、経営層は問題の範囲と、それ以外の領域が確かめられたことを同時に理解できます。経営層向けの伝え方は取締役会・監査委員会への内部監査報告も参考にしてください。
監査の実施チェックリスト
- データの件数と合計額を会計帳簿と照合し、差異の理由を記録した
- 表記ゆれの統一など、データ整形の内容を記録した
- 抽出条件と使用したクエリ・数式を保存し、再実行できる状態にした
- 例外リストの一次仕分けの根拠(除外理由)を1件ずつ記録した
- 不正の疑いがある案件の取扱いを、社内規程に沿って関係部署と調整した
- 個々の誤りだけでなく、統制上の原因(システム、承認、規程)を分析した
- 検知条件を翌年以降のモニタリングに引き継ぐ方法を検討した
経費精算の統制項目を網羅的に確かめたい場合は、経費精算監査チェックリストも活用できます。
よくある失敗と対策
失敗1:誤検知の山に埋もれる
最初から条件をゆるくして大量の例外を抽出し、確認しきれずに終わるケースです。条件は厳しい一致から始め、結果を見ながら段階的に広げます。部署や職種ごとの平常の分布を把握してから外れ値を抽出すると、誤検知を大幅に減らせます。
失敗2:母集団の確認を省く
データを入手してすぐに分析を始め、後から特定の経費が含まれていなかったことに気づくケースです。帳簿との件数・金額の照合は、分析の最初の手続として必ず実施し、調書に記録します。
失敗3:個人の問題として終わらせる
重複申請を見つけて返金させ、それで終わりにしてしまうケースです。同じ誤りが複数の部署で起きているなら、原因はシステムや承認の仕組みにあります。個別の是正に加えて、統制の改善を提言することで、監査の価値が高まります。
失敗4:一度きりの分析で終える
年に一度の監査で分析しても、翌年には同じ問題が再発していることがあります。有効だった検知条件は、経理部門の日常のチェックや、内部監査の継続的なモニタリングに組み込むと効果が持続します。継続的な仕組みについては継続的監査・継続的モニタリングの始め方で解説しています。
よくある質問
分析にはどのようなツールが必要ですか?
数万件程度であれば、表計算ソフトの関数やピボットテーブルでも多くのシナリオを実施できます。複数のデータを結合したり、毎月繰り返し実行したりする場合は、データベースのSQLやBIツール、監査用の分析ツールが便利です。大切なのはツールの種類より、処理の内容を記録して再現できるようにすることです。
個人の経費データを分析することにプライバシー上の問題はありませんか?
経費データには従業員の行動に関する情報が含まれるため、取扱いには配慮が必要です。監査の目的と権限が内部監査規程で定められていること、分析に必要な範囲のデータに限ること、結果の閲覧者を限定することが基本です。社内規程や就業規則での位置づけは、法務部門や人事部門と確認しておくと安心です。
抽出した例外がすべて誤検知だった場合、監査の意味はありますか?
意味はあります。全件を分析して重要な異常が見つからなかったことは、統制が有効に機能していることを示す証拠になります。調書には、どの条件で何件を分析し、どう検証して問題がなかったと判断したかを記録します。
経費の分析と仕訳テストはどう違いますか?
経費の分析は、経費精算という特定の業務の取引データを対象に、不正や誤りのパターンを探すものです。仕訳テストは、会計帳簿の仕訳全体を対象に、経営者による不正な財務報告のリスクに対応するための手続です。手法には共通点が多いため、仕訳テストの実務もあわせてご覧ください。
抽出条件は社内に公開してもよいのでしょうか?
条件の詳細まで公開すると、条件をすり抜ける申請の仕方を教えることにもなりかねません。一方で、「経費データは全件分析されている」という事実を周知することには、不正を思いとどまらせる抑止の効果が期待できます。分析を行っていること自体は伝え、具体的な条件や閾値は監査部門と経理部門の関係者に限って管理するのが一般的な考え方です。
まとめ
経費データの分析監査は、「1件ずつは正常、組み合わせると異常」という経費不正の特徴に対応する方法です。重複申請、分割と閾値付近への集中、異常な時間帯や申請者の状態との矛盾といったシナリオを、全件データに当てはめて確かめるべき候補を絞り込みます。分析の前には母集団の網羅性を確かめ、分析の後には例外リストを丁寧に検証し、統制上の原因まで掘り下げることが大切です。
次の一歩として、経費精算データの1年分を入手し、件数と合計額を帳簿と照合したうえで、完全一致の重複申請の抽出から試してみてください。
経費監査やデータ分析監査の進め方についてのご相談は、お問い合わせからお寄せください。
参考資料
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
- 国税庁「令和6年度法人税関係法令の改正の概要」(交際費等の損金不算入制度の見直し)
- 国税庁「少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/02.htm
- 国税庁「接待飲食費に関するFAQ」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/settai_faq/01.htm
- 日本公認会計士協会 監査基準報告書240「財務諸表監査における不正」



