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【テンプレート】改善計画書・改善完了報告書|記入例と確認手順

改善期限の翌日、内部監査部のメールボックスに、購買部から1行だけの返信が届きました。「指摘事項No.3、対応完了しました」。添付ファイルはありません。担当者が「どのように対応されましたか」と尋ねると、「課内に周知しました」という答えが返ってきます。周知した文書はあるのか、周知後に承認漏れは起きていないのか。確かめようとすると、今度は「監査の対応はもう終わったはずでは」と言われてしまいました。

一方で、購買部の立場に立つと別の景色が見えます。監査報告書を受け取った時点では、何をすれば「完了」になるのかが示されていませんでした。期限の3か月前に計画を提出してほしいと言われ、とりあえず「周知徹底する」と書いて出した。内部監査部も、その計画に何も言わなかった。双方とも手を抜いたわけではなく、「完了の定義」を共有しないまま時間が過ぎたのです(本記事の事例はすべて架空のモデルケースです)。

改善計画書と改善完了報告書は、この「定義のずれ」を防ぐための2枚の様式です。本記事では、社内様式にそのまま転記できるテンプレートと記入例、内部監査部門の確認手順、よくある記入ミスを紹介します。

この記事の要点

  • 改善計画書は「何をすれば完了か」を事前に合意する文書、改善完了報告書は「完了した」ことを証跡とともに示す文書です
  • 計画書の要は、根本原因への対応、暫定措置、完了の判定基準、提出する証跡の4欄です
  • 完了報告書には、被監査部門の報告欄と内部監査部門の確認欄を分けて設けます
  • 確認方法は発見事項の重要度に応じて、問い合わせ・証跡確認・再テストを使い分けます
  • 最終的な確認の深さや期限の設定は、自社の方針と監査人の判断で決めます

改善計画書・改善完了報告書とは:なぜ2枚に分けるのか

定義と位置づけ

改善計画書は、内部監査の発見事項(指摘事項)に対して、被監査部門の責任者が「どの原因に、どのような措置で、いつまでに対応するか」を記載する文書です。会社によっては「改善措置計画書」「是正計画書」「回答書」とも呼ばれます。改善完了報告書は、計画した措置が完了したことを、証跡を添えて報告する文書です。

2枚の様式を分ける理由は、書く時期と目的が違うからです。計画書は監査報告の直後に「約束」を記録し、完了報告書は数か月後に「実績」を記録します。1枚にまとめると、計画時の内容が完了時に上書きされ、当初何を約束したのかが後から分からなくなりがちです。

基準が求めていること

IIAの「グローバル内部監査基準」(2025年1月発効、以下GIAS)は、原則15(Communicate Engagement Results and Monitor Action Plans:業務結果の伝達と改善措置のモニタリング)の中で、改善措置の扱いを定めています。基準15.1は、最終的なコミュニケーションに、発見事項への対応に責任を負う個人と、改善措置を完了すべき予定日を含めることを求めています。基準15.2は、提言や改善措置の実施状況を確認し、その程度を発見事項の重大性に応じてリスク・ベースで決めることを求めています。

つまり基準は、「責任者」「予定日」「実施の確認」の3点を求めていますが、それを書き留める様式までは定めていません。その隙間を埋めるのが、改善計画書と改善完了報告書です。フォローアップの全体設計は発見事項フォローアップの運用で詳しく解説しています。

計画を書くのは誰か

改善計画は、原則として被監査部門(経営管理者)が作成します。内部監査部門が改善策を決めて押しつけると、実行責任があいまいになるだけでなく、内部監査人が自ら設計した仕組みを後で監査することになり、客観性が損なわれるおそれがあるからです。内部監査人の役割は、計画が根本原因に対応しているか、期限がリスクの大きさに見合っているかを評価し、必要なら修正を求めることです。

ここに最初の発見があります。改善計画書は被監査部門が書く文書でありながら、その「質」に責任を負うのは内部監査部門でもあるということです。冒頭のモデルケースで「周知徹底する」という計画を受け取ったまま何も言わなかったことが、3か月後のすれ違いを生んだのです。

いつ使うか・誰が記入するか

発見事項からクローズまでの流れ

2つの様式は、監査報告からクローズまでの流れの中で、次のタイミングで使います。日数は目安で、自社の内部監査規程やマニュアルに合わせて設定してください。

段階 時期の目安 使う様式 主な記入者 内部監査部門の作業
講評・報告書ドラフト 往査終了後 報告書ドラフト 内部監査部門 発見事項と提言を提示し、事実確認を依頼
改善計画の提出 報告書発行から2〜4週間以内 改善計画書 被監査部門の責任者 計画の妥当性を評価し、必要に応じて差し戻し
計画の合意 提出から1〜2週間以内 改善計画書(合意欄) 内部監査部門 合意日を記入し、追跡台帳に登録
進捗確認 中間マイルストーンごと 追跡台帳 内部監査部門 遅延の兆候を把握し、早めに声をかける
完了報告 措置完了後すみやかに 改善完了報告書 被監査部門の責任者 証跡を受領し、確認方法を決める
確認・クローズ 完了報告から1〜2か月以内 改善完了報告書(確認欄) 内部監査部門 確認結果を記録し、クローズまたは差し戻し

報告書の中に改善計画を記載する会社もあります。その場合でも、報告書とは別に計画書を作る意味はあります。報告書は発行時点で確定しますが、計画は途中で期限の変更や代替措置が生じるため、変更履歴を持つ別の様式で管理したほうが追跡しやすいからです。

役割分担

役割 改善計画書 改善完了報告書
被監査部門の担当者 原因分析と措置の案を作成 証跡を収集し、報告欄を作成
被監査部門の責任者(部長等) 内容を確認し、責任者として署名・承認 完了を確認し、報告者として承認
担当役員 重要度「高」の計画を承認 重要度「高」の完了を確認(任意)
内部監査部門の担当者 計画の妥当性を評価 確認手続を実施し、確認欄を記入
内部監査部門長 合意・差し戻しを決定 クローズを承認

重要度「高」の計画に担当役員の承認を求めるのは、改善に予算やシステム改修、人員配置の変更が必要になることが多く、部長の権限だけでは実行できない場合があるからです。発見事項の重要度の付け方は指摘事項の重要度評価を参照してください。

テンプレート本体①:改善計画書

以下は、発見事項1件につき1枚を作成する形式です。複数の発見事項をまとめて1通で回答する運用もありますが、1件1枚にすると、期限や責任者が異なる項目を個別に追跡でき、クローズの判断もしやすくなります。

欄 記入内容 記入者
1. 監査名・報告書番号 対象の監査名と報告書の番号、発行日 内部監査部門(事前記入)
2. 発見事項番号・表題 報告書に記載した番号と表題 内部監査部門(事前記入)
3. 重要度 報告書で付した重要度(高・中・低) 内部監査部門(事前記入)
4. 発見事項の要旨 事実と影響を2〜3行で 内部監査部門(事前記入)
5. 根本原因 発見事項が生じた原因。報告書の記載に対する被監査部門の見解 被監査部門
6. 改善措置 根本原因に対応する措置。複数あれば番号を振る 被監査部門
7. 暫定措置 改善措置が完了するまでの間、リスクを抑える手当て。不要なら理由 被監査部門
8. 完了の判定基準 どの状態になれば完了とみなすか 被監査部門(内部監査部門と協議)
9. 提出する証跡 完了報告時に添付する資料の名称 被監査部門(内部監査部門と協議)
10. 中間マイルストーン 途中の到達点と予定日 被監査部門
11. 完了予定日 全措置の完了予定日 被監査部門
12. 実施責任者 役職と氏名 被監査部門
13. 承認 責任者(重要度「高」は担当役員も)の承認日 被監査部門
14. 内部監査部門の評価 合意/差し戻し、その理由、合意日 内部監査部門
15. 変更履歴 期限・措置の変更日、変更内容、理由、承認者 内部監査部門

1〜4欄を内部監査部門があらかじめ記入してから渡すのは、転記ミスを防ぐためだけではありません。被監査部門が「どの事実に対して回答するのか」を明確にし、発見事項の表現をめぐる議論を計画書の段階で蒸し返さないためです。事実認識に異論がある場合は、報告書の確定前に解消しておくのが原則です。

崖の間に5つのブロックで橋を架け、警告から安全な状態へ渡る様子の図
改善計画は、原因の特定、恒久措置、暫定措置、期限、完了の証跡という5つの部品がそろって初めて「リスクがある状態」から「管理された状態」への橋になります。1つでも欠けると、途中で渡れなくなります。

8欄「完了の判定基準」をなぜ書くのか

15欄のうち、最も効果が大きいのが8欄と9欄です。完了の判定基準を事前に合意しておくと、完了報告の時点で「何を見れば確認できるか」が決まっているため、冒頭のモデルケースのようなやり取りが起きにくくなります。

判定基準は、「〜が整備された状態」だけでなく、可能なら「〜が運用されていることを確認できる状態」まで書きます。たとえば「規程を改訂する」ではなく「改訂規程が承認・公表され、改訂後1か月分の承認記録で新ルールの運用を確認できる状態」と書くと、整備だけで完了とする誤りを防げます。

7欄「暫定措置」をなぜ設けるのか

システム改修や組織変更を伴う改善は、半年以上かかることも珍しくありません。その間もリスクは存在し続けます。暫定措置の欄を設けておくと、「恒久措置ができるまでの間、誰が何でリスクを抑えるか」を考えるきっかけになります。手作業のモニタリングや、例外一覧の定期レビューが典型的な暫定措置です。

記入例:経費精算の承認漏れ

経費精算の監査で、上長承認のない精算が支払われていた発見事項を想定した記入例です(架空のモデルケース)。

欄 記入例
1. 監査名・報告書番号 2026年度 経費精算業務監査/IA-2026-07(2026年8月20日発行)
2. 発見事項番号・表題 No.3 上長承認のない経費精算の支払
3. 重要度 中
4. 発見事項の要旨 2026年4〜6月の精算3,120件のうち18件が、上長承認を経ずに支払われていた。不正な精算を見逃すおそれがある
5. 根本原因 経費精算システムで、承認者が不在の場合に申請者本人が「代理承認」を選択できる設定になっていた。代理承認の利用ルールが定められていなかった
6. 改善措置 (1) 代理承認者を事前登録制とし、申請者本人を代理承認者に登録できない設定に変更する (2) 代理承認の運用ルールを経費精算規程の細則に追加する
7. 暫定措置 設定変更までの間、経理課が代理承認の一覧を週次で抽出し、経理課長が事後承認の有無を確認する
8. 完了の判定基準 本番環境で設定が有効となり、申請者本人による代理承認ができないこと。細則が承認・公表されていること
9. 提出する証跡 システム設定変更の申請・承認記録、本番環境の設定画面、テスト結果、改訂後の細則と公表記録、暫定措置の週次確認記録
10. 中間マイルストーン 9月30日 要件確定、10月31日 テスト完了
11. 完了予定日 2026年11月30日
12. 実施責任者 経理部長 ○○ ○○
13. 承認 経理部長 2026年9月3日
14. 内部監査部門の評価 合意(2026年9月10日)。根本原因である設定と運用ルールの双方に対応しており、暫定措置で期限までのリスクも抑えられると判断
15. 変更履歴 (変更なし)

この記入例のポイントは、5欄の根本原因が「担当者の不注意」で終わっていないことです。「なぜ承認なしで支払えたのか」を掘り下げると、システムの設定と規程の空白という仕組みの問題にたどり着きます。原因が仕組みにあれば、措置も仕組みに向かいます。発見事項の原因の書き方は内部監査報告書の書き方で解説しています。

テンプレート本体②:改善完了報告書

完了報告書は、上段を被監査部門、下段を内部監査部門が記入する2部構成にします。同じ様式に双方の記録を残すことで、「報告された」ことと「確認された」ことを1枚で区別できます。

区分 欄 記入内容
共通 発見事項番号・表題 改善計画書と同じ番号と表題
共通 合意した改善措置 改善計画書6欄を転記(変更があれば変更後)
共通 完了の判定基準 改善計画書8欄を転記
被監査部門 実施した措置 実際に行った措置。計画との差異があれば理由
被監査部門 完了日 措置が完了した日(設定の有効化日、規程の施行日など)
被監査部門 添付証跡 証跡の一覧(資料名、日付、ページ数)
被監査部門 暫定措置の終了 暫定措置を終了した日と、終了までの実施記録
被監査部門 報告者・承認 責任者の役職・氏名、報告日
内部監査部門 確認方法 問い合わせ/証跡確認/再テスト(範囲・件数)
内部監査部門 確認結果 判定基準を満たすか。満たさない点があればその内容
内部監査部門 結論 クローズ/差し戻し/一部クローズ
内部監査部門 調書番号 確認手続の調書への参照
内部監査部門 確認者・承認 確認者と内部監査部門長の氏名、日付

完了報告書の記入例(下段)

先の経費精算の例で、内部監査部門が記入する下段の記入例です。

欄 記入例
確認方法 証跡確認と再テスト。設定変更後の2026年12月の精算全件(1,046件)を対象に、代理承認の有無と承認者をデータで検証
確認結果 設定が本番環境で有効であることを画面で確認。12月の代理承認は12件で、すべて事前登録された代理承認者によるもの。申請者本人による承認は0件
結論 クローズ
調書番号 G-2026-07-03
確認者・承認 監査担当 ○○(2027年1月15日)、内部監査部長 ○○(2027年1月18日)

「完了日」と「確認日」の間に1か月以上の間隔があるのは、改善後の運用実績が積み上がるのを待ったためです。全件のデータで確認できる場合は、データ分析監査(CAAT)の手法でサンプルに頼らず検証できます。サンプルで確認する場合の件数の考え方は内部監査サンプル数計算機が参考になります。

内部監査部門の確認手順:受領から判断まで

計画書を受け取ったときのチェックリスト

計画書の段階で差し戻すほうが、完了報告の段階で差し戻すよりはるかにコストが小さくなります。受領時には次の点を確認します。

No. 確認項目 確認
1 根本原因が「担当者の不注意」「認識不足」だけで終わっていないか □
2 改善措置が根本原因に対応しているか(原因と措置の対応が1対1で読めるか) □
3 「周知徹底」「注意喚起」「意識向上」だけの措置になっていないか □
4 完了予定日が重要度に応じた社内の目安の範囲内か。超える場合は理由と暫定措置があるか □
5 完了の判定基準が、第三者が見て判断できる具体性を持っているか □
6 提出する証跡が、判定基準を満たすことを示せる資料になっているか □
7 実施責任者が、措置を実行する権限を持つ役職か □
8 同じ原因による問題が他部署にもないか、横展開の要否が検討されているか □

3番目の「周知徹底」は、最もよく見かける計画です。周知が無意味なわけではありませんが、周知だけで行動が変わるなら、そもそも問題は起きていなかったはずです。周知に加えて、仕組みで防ぐ措置か、発生を検知する措置を組み合わせるよう求めます。

確認方法の選び方

完了報告を受け取ったら、発見事項の重要度に応じて確認方法を選びます。GIAS基準15.2は確認の程度を発見事項の重大性に応じて決めることを求めており、すべてを再監査する必要はありません。

重要度 確認方法の目安 確認のタイミング
高 証跡確認に加え、改善後の運用を再テスト(サンプルまたは全件) 改善後、統制が十分な回数実施されてから
中 証跡確認。必要に応じて一部の運用を確認 完了報告の受領後
低 問い合わせと主要な証跡の閲覧 完了報告の受領後、または次回監査時

文書が3つの関門を順に通り、最後に確認済みの印がつく図
完了報告は、問い合わせ、証跡確認、運用の再テストと関門を通るほど確かさが増します。どの関門まで通すかは、発見事項の重要度で決めます。

J-SOXの不備に関連する発見事項は、期末日までに是正後の運用を評価できるかが問題になります。この場合の確認の考え方は不備の是正とロールフォワードを参照してください。

よくある記入ミスと対策

ミス1:根本原因欄に発見事項をそのまま書く

「承認が漏れていたため」のように、事実を言い換えただけの原因は、原因になっていません。「なぜ漏れたのか」を2〜3回繰り返して問い、仕組み・ルール・体制のどこに穴があったかまで掘り下げてもらいます。内部監査部門が報告書に記載した原因を初期値として示すと、議論が始めやすくなります。

ミス2:措置が「周知徹底」「再教育」だけ

前述のとおり、周知は単独では効果を確かめにくい措置です。周知を含める場合は、周知後にどう効果を測るか(例:周知後3か月の例外件数を確認する)を判定基準に加えてもらいます。

ミス3:完了予定日を上書きする

期限の延期が決まったとき、計画書の完了予定日を書き換えてしまう運用は避けます。当初の予定日を残し、変更履歴欄に変更日・新しい予定日・理由・承認者を追記します。上書きすると延期の回数が見えなくなり、経営への報告で期限内完了率が実態よりよく見えてしまいます。

ミス4:証跡が「対応済み」のメールだけ

完了報告書に添付されるのが、担当者が「対応しました」と書いたメールだけ、ということがあります。これは報告であって証跡ではありません。計画書の9欄で合意した証跡の一覧を完了報告書に転記し、1つずつ添付されているかを確認します。

ミス5:確認欄を空欄のままクローズする

内部監査部門が完了報告書を受け取った時点で台帳を「完了」にし、確認欄を書かないまま年度をまたぐ例があります。確認方法と結論、調書番号が記入されていない限りクローズしない、というルールを明文化しておきます。

運用のコツ

1つ目は、計画書の提出前に15分の打ち合わせを持つことです。講評会の直後や報告書発行時に、被監査部門の担当者と「完了の判定基準」と「証跡」の2欄だけを先にすり合わせておくと、計画書の差し戻しが大きく減ります。

2つ目は、様式を台帳と同じ項目順にすることです。計画書の欄の並びを追跡台帳の列と合わせておくと、転記が機械的になり、台帳の更新漏れを防げます。スプレッドシートで台帳を管理している場合は、計画書をそのまま1行として取り込める形にしておくと便利です。

3つ目は、横展開の欄を設けることです。ある部署で見つかった原因が、同じシステムや同じ規程を使う他部署にも存在することはよくあります。計画書に「他部署への展開の要否」の欄を追加すると、同種の指摘が別の監査で繰り返されるのを防げます。

4つ目は、完了報告書を次回監査の起点にすることです。クローズした発見事項は、次回の同じ領域の監査で「改善が定着しているか」を確認する対象になります。完了報告書の調書番号を次回の監査プログラムに引き継ぐと、改善の持続性を無理なく確かめられます。監査プログラムの書き方は【テンプレート】監査プログラムを参照してください。

よくある質問

改善計画書は内部監査部門が作ってもよいですか?

原則として、被監査部門が作成します。内部監査部門が作成すると、改善の実行責任があいまいになり、後で自ら設計した措置を監査することになって客観性が損なわれるおそれがあります。ただし、様式の1〜4欄を事前記入したり、根本原因の候補を示したりする支援は有効です。改善策の設計に深く関わる場合は、アドバイザリー業務としての整理が必要です。

被監査部門が発見事項に同意せず、計画書を出さない場合はどうしますか?

事実認識の相違は、報告書の確定前に解消するのが原則です。確定後も同意が得られない場合は、被監査部門の見解を報告書または記録に残したうえで、内部監査部門長が上位者と協議します。改善しないという判断は、リスクを受容する判断として扱い、判断者と理由を記録します。GIASの基準11.5は、許容度を超えるリスクの受容について、最高経営者との協議と、解決しない場合の取締役会への報告を求めています。

期限の延長を求められたら応じるべきですか?

延長自体は珍しいことではありません。重要なのは、理由・新しい期限・暫定措置を文書で受け取り、変更履歴に残すことです。重要度「高」の案件や2回目以降の延長は、内部監査部門長や担当役員の承認を要件にするとよいでしょう。

完了報告書は紙の署名が必要ですか?

様式の媒体は問いません。ワークフローシステムや電子承認で、誰がいつ承認したかが記録として残れば十分です。重要なのは、承認の記録が改ざんされにくい形で保存されることです。

まとめ

改善計画書と改善完了報告書は、内部監査の成果を「指摘」から「改善」に変えるための2枚の様式です。計画書では根本原因・暫定措置・完了の判定基準・証跡を事前に合意し、完了報告書では被監査部門の報告と内部監査部門の確認を分けて記録します。この2点を押さえるだけで、「対応済みです」「証跡がありません」というすれ違いの多くは防げます。

改善状況を経営会議に報告する様式は【テンプレート】経営会議向け 改善状況報告、取締役会・監査委員会への年次報告は【テンプレート】年次内部監査報告で紹介しています。追跡台帳とエスカレーションの設計は発見事項フォローアップの運用をあわせてご覧ください。

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参考資料

この記事で使える無料ツール

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