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労働関係法令の労務監査|労働時間・36協定・ハラスメント対応の要点

月末の締め処理が終わった夜、人事部の担当者が勤怠システムの集計表を眺めています。営業部の数名が、月の時間外労働で 70 時間台に並んでいる。36 協定の特別条項の範囲内ではあるものの、同じ顔ぶれが 3 か月続いていることに気づき、2〜6 か月平均の計算をやり直すと、1 人が 80 時間をわずかに超えていました。勤怠システムのアラートは「単月」の基準しか見ていなかったのです。

翌週、内部監査部門に相談が来ます。「労務は人事の専門領域なので、監査で何を見ればよいのか分からない」。監査部門の側も、労働基準法の条文を読み込んだことはなく、これまでは就業規則の有無と 36 協定の届出控えを確認する程度でした(本記事の事例はすべて架空のモデルケースです)。

労務のリスクは、未払残業代の請求、労働基準監督署の是正勧告、長時間労働による健康障害、ハラスメント事案の外部化など、財務と評判の両面に直結します。しかも原因の多くは「規程はあるが、運用とシステムの設定が法令の計算方法とずれている」という、監査で見つけやすい種類のものです。この記事では、内部監査が労働関係法令をどの粒度で理解し、どの証跡を確かめればよいかを整理します。

この記事の要点

  • 時間外労働の上限は「月45時間・年360時間」が原則で、特別条項でも年720時間、単月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内、45時間超は年6回までという複数の基準を同時に満たす必要があります
  • 監査の核心は、勤怠記録が「客観的な方法」で把握され、PC ログや入退室記録と乖離していないかを確かめることです
  • 年5日の年次有給休暇の取得、賃金台帳等の記録保存、管理監督者の範囲も、データで検証しやすい論点です
  • ハラスメント対策は措置義務の4本柱で評価し、2026年10月1日からはカスタマーハラスメント対策と求職者等へのセクハラ防止措置も義務になります
  • 法令解釈の最終判断は社会保険労務士や弁護士、所轄の労働基準監督署の見解を踏まえて行い、監査は「仕組みが法令の要求を満たすように設計・運用されているか」に焦点を当てます

労務監査とは何か:内部監査が扱う理由

「労務監査」という言葉の二つの意味

労務監査という言葉は、文脈によって指すものが異なります。社会保険労務士が外部の立場で就業規則や労働条件を点検するサービスを労務監査と呼ぶこともあれば、上場審査やM&Aのデューデリジェンスで行われる労務面の調査を指すこともあります。本記事で扱うのは、内部監査部門がリスクベースの監査計画の一環として、労働関係法令の遵守体制を評価する活動です。

両者の違いは、目的と深さにあります。外部専門家の労務監査は、個別の労働条件が法令に適合しているかを専門的に判定することが中心です。一方、内部監査は、法令を守るための仕組み、つまり規程・承認フロー・勤怠システムの設定・モニタリング・是正の流れが有効に機能しているかを評価します。条文の解釈で白黒をつけるのではなく、「違反が起きたときに自社が気づけるか」を確かめる点に内部監査の価値があります。

なぜ今、内部監査のテーマになるのか

背景には、2018年の働き方改革関連法による労働基準法改正があります。それまで36協定の限度時間は厚生労働大臣の告示で定められ、法的拘束力が弱いものでした。改正により、時間外労働の上限が法律に明記され、違反には罰則が科されるようになりました。大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から適用され、適用が猶予されていた建設業、自動車運転の業務、医師なども2024年4月から上限規制の対象になっています(業種ごとに特例があるため、詳細は厚生労働省の資料で確認してください)。

もう一つの背景は、ハラスメント対策の法制化です。職場のパワーハラスメント防止措置は、労働施策総合推進法の改正により大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から義務になりました。さらに2025年6月に公布された改正法により、2026年10月1日からカスタマーハラスメント対策と求職者等へのセクシュアルハラスメント防止措置が事業主の義務になります。ルールが増えるほど、規程の改定漏れや現場への周知不足が生じやすく、第2ラインの人事部門だけで網羅的に点検するのは難しくなります。ここに第3ラインとしての内部監査が関与する意義があります。役割分担の考え方は3ラインモデルの解説も参考になります。

労働時間規制の基本構造:上限規制を正しく読む

法定労働時間と36協定

労働基準法第32条は、休憩時間を除き1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないと定めています。これを超えて働かせる、または法定休日に働かせるには、同法第36条に基づく労使協定(いわゆる36協定)を締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。協定を結ばずに時間外労働をさせれば、それだけで法違反です。

36協定の締結主体は、事業場の過半数で組織する労働組合、それがない場合は過半数代表者です。過半数代表者は、管理監督者でない者から、協定を結ぶ者を選ぶことを明らかにした投票や挙手などの方法で選出する必要があり、会社が指名した者では要件を満たしません。監査では協定書の控えだけでなく、代表者の選出手続の記録も確認します。ここは形式が整って見えても実態が伴わない典型的な論点です。

上限規制の「複数の物差し」

上限規制が分かりにくいのは、異なる計算範囲の基準が重なっているためです。次の表に整理します。

基準 上限 休日労働を含むか 補足
限度時間(原則) 月45時間・年360時間 含まない 対象期間3か月超の1年単位の変形労働時間制では月42時間・年320時間
特別条項の年間上限 年720時間 含まない 臨時的な特別の事情がある場合に限る
単月の上限 100時間未満 含む 特別条項の有無にかかわらず適用
複数月平均 2〜6か月のいずれの平均も80時間以内 含む 特別条項の有無にかかわらず適用
45時間超の回数 年6回まで 含まない 特別条項を使える月数の上限

冒頭のモデルケースで起きたのは、この表の4行目の見落としです。単月100時間未満は多くの勤怠システムでアラートが設定されていますが、「直前の2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均」をすべて計算して80時間以内かを確かめる機能は、設定しなければ動きません。しかも、この2つの基準は休日労働を含めて計算するのに対し、年720時間や月45時間は休日労働を含めないため、集計ロジックを分ける必要があります。

割増賃金と記録の保存

時間外労働には25%以上、法定休日労働には35%以上、深夜労働(午後10時から午前5時)には25%以上の割増賃金が必要です。月60時間を超える時間外労働の割増率は50%以上で、中小企業にも2023年4月から適用されています。給与計算システムの設定がこの改正に追随しているかは、監査で確認する価値があります。

労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などの記録の保存期間は、2020年4月施行の改正で労働基準法第109条により5年とされ、当分の間は経過措置として3年とされています。賃金請求権の消滅時効も同じ時期に延長されているため、記録の保存が不十分だと、未払賃金の請求を受けたときに反証ができません。監査では保存ルールと、実際に過去分を取り出せるかを確かめます。

労働時間の把握:監査の核心は「客観性」

ガイドラインが求めること

厚生労働省は2017年1月に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定しています。原則として、使用者が自ら現認するか、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎として始業・終業時刻を確認することを求めています。自己申告制による場合は、適正な申告についての十分な説明、申告時間と在社時間などとの乖離がある場合の実態調査と補正、申告できる時間数に上限を設けるような措置の禁止などが示されています。

また、2019年4月からは労働安全衛生法第66条の8の3により、面接指導の実施のために労働時間の状況を把握することが事業者の義務になりました。これは管理監督者や裁量労働制の適用者も対象です。時間外労働の規制が適用されない管理監督者であっても、健康確保の観点で労働時間の状況は把握しなければならない点は、実務で見落とされがちです。

乖離分析:データで確かめる手続

内部監査がこの領域で最も価値を出せるのが、勤怠記録と客観記録の突合です。入退室ログ、PC のログオン・ログオフ記録、業務システムへのアクセスログなどを勤怠データと並べ、一定時間以上の乖離がある日を抽出します。

勤怠記録・入退室記録・PCログの3本の時間軸を並べ、ずれている箇所を拡大して確認する図
勤怠の打刻、入退室、PC稼働の3つの記録を並べると、申告されていない労働時間の候補が浮かび上がります。乖離の有無ではなく、乖離を会社が把握し補正しているかが評価のポイントです。

乖離の抽出は、全件データを使った分析に向いています。手法の全体像はデータ分析監査(CAAT)入門で解説しています。分析の設計例は次のとおりです。

分析 使うデータ 抽出条件の例 確認すること
終業後の PC 稼働 勤怠の終業打刻、PC ログオフ時刻 終業打刻から30分以上後のログオフ 乖離理由の記録と補正の有無
始業前の入館 入館記録、始業打刻 始業の30分以上前の入館 始業前の準備作業などの実態
休日の稼働 休日カレンダー、PC・システムログ 休日にログインがあり勤怠記録なし 休日労働の申請漏れ
複数月平均 月次の時間外+休日労働時間 2〜6か月平均のいずれかが80時間超 アラート設定と是正対応
管理監督者の稼働 管理職の在社時間 月の在社時間が一定水準以上 健康確保措置と面接指導の案内

抽出条件の閾値は例示です。乖離のすべてが違法な未申告労働というわけではなく、私用での残留や、業務と無関係な PC の起動もあり得ます。重要なのは、会社自身が乖離を定期的に確認し、理由を記録し、必要なら補正するプロセスを持っているかどうかです。監査で乖離を見つけたときは、個人を責める結論ではなく、プロセスの欠如として報告します。

長時間労働者への面接指導

労働安全衛生規則では、休憩時間を除き1週40時間を超えて労働した時間が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者から申出があった場合、医師による面接指導を行うことが求められています。事業者は該当者に労働時間の情報を通知する必要もあります。監査では、該当者の抽出、本人への通知、申出の受付、面接指導の実施、事後措置という流れが記録で追えるかを確かめます。

休暇・雇用管理:データで検証しやすい論点

年5日の年次有給休暇

2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者について、付与日から1年以内に5日を取得させることが使用者の義務になりました(労働基準法第39条第7項)。本人の請求や計画的付与で取得した日数は5日から差し引けます。使用者は年次有給休暇管理簿を作成し、保存する必要があります。

この論点は、勤怠データから付与日・付与日数・取得日数を集計すれば全件で検証できます。つまずきやすいのは、入社時期の違いで付与日が人によって異なる場合や、途中で付与日を統一した場合です。基準日の管理が複雑になり、システム上は「年度」で集計しているのに法令上は「付与日から1年」で判定すべき、というずれが生じます。

管理監督者の範囲

労働基準法第41条第2号の管理監督者には、労働時間・休憩・休日の規定が適用されません。ただし該当するかは役職名ではなく、経営者と一体的な立場にあるか、労働時間について裁量があるか、地位にふさわしい待遇かといった実態で判断されます。深夜割増賃金と年次有給休暇の規定は管理監督者にも適用されます。

監査では、管理職の職位ごとに権限規程・賃金水準・勤務実態を並べ、管理監督者として扱う根拠が整理されているかを確認します。判断そのものは専門家の領域なので、監査は「判断の根拠が文書化され、見直されているか」を評価します。

労働条件の明示と雇用形態

2024年4月からは、労働契約の締結時などに、就業場所・業務の変更の範囲などを明示することが求められるようになりました。雇用契約書や労働条件通知書のひな形が改正に対応しているかは、サンプルで短時間に確認できます。パートタイム・有期雇用労働法に基づく不合理な待遇差の禁止や、業務委託の実態が指揮命令を伴う偽装請負になっていないかも、事業内容によっては重要な監査対象です。

ハラスメント対策:措置義務の4本柱で評価する

法令の構造

職場のハラスメントについて、事業主に雇用管理上の措置が義務付けられている主な類型は次のとおりです。パワーハラスメントは労働施策総合推進法、セクシュアルハラスメントと妊娠・出産等に関するハラスメントは男女雇用機会均等法、育児休業等に関するハラスメントは育児・介護休業法に規定があり、それぞれ厚生労働大臣の指針が措置の内容を定めています。

指針が示す措置は、おおむね共通の構造を持っています。事業主の方針の明確化と周知・啓発、相談に適切に対応するための体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応、そしてプライバシーの保護や相談を理由とする不利益取扱いの禁止といった併せて講ずべき措置です。監査ではこの4本柱を評価の枠組みとして使うと、類型ごとにばらばらに点検するより漏れが減ります。

労働者を中心に、方針・相談窓口・調査・プライバシー保護の4つの輪が守り、外部からの言動も防ぐ図
ハラスメント対策は、方針・相談体制・事後対応・プライバシー保護の4層で組み立てると評価しやすくなります。2026年10月からは顧客や求職者との関係も守る範囲に加わります。

2026年10月1日からの新しい義務

改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から、顧客等からの著しい迷惑行為であるカスタマーハラスメントについて、労働者からの相談に応じ適切に対応するための体制整備などの雇用管理上の措置が事業主の義務になります。同日から、男女雇用機会均等法の改正により、就職活動中の学生などの求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置も義務になります。厚生労働省はそれぞれの指針を公表しているため、自社の規程改定や相談窓口の対象範囲の拡大が指針に沿っているかを確認します。施行直後の時期は、規程は改定したが現場の対応マニュアルや研修が追いついていない、という状態が起こりやすい点に注意が必要です。

相談事案の処理を追う

ハラスメント監査で最も情報量が多いのは、相談受付から調査・措置・再発防止までの記録です。個人情報への配慮から、監査人が個別事案の詳細を閲覧できる範囲は事前に取り決めておきます。そのうえで、受付から初動までの日数、調査担当者の独立性、行為者への措置の決定プロセス、相談者へのフィードバックの有無を、匿名化した一覧で確認します。内部通報制度との役割分担は公益通報者保護法と内部通報制度の監査も参照してください。

監査の進め方:計画から報告まで

監査範囲の決め方

労務は論点が広いため、初回から全部を見ようとすると表面的な確認で終わります。長時間労働が多い部署、過去に是正勧告や相談事案があった事業場、急成長で人員が増えた拠点など、リスクの高い領域から始めるのが現実的です。リスク評価の方法はリスクベース内部監査の始め方で詳しく扱っています。

労務監査チェックリスト

実務で使える確認項目を領域別にまとめます。

領域 確認項目 主な証跡
36協定 全事業場で協定が締結・届出され、有効期間が切れていない 協定届の控え、受付印または電子申請の記録
36協定 過半数代表者が適正な方法で選出されている 選出の告知、投票・信任の記録
上限管理 単月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内のアラートがある 勤怠システムの設定画面、アラート履歴
上限管理 特別条項の発動が手続どおり行われ、年6回を超えていない 発動申請と承認記録、回数集計
時間把握 客観的記録との乖離を定期的に確認し補正している 乖離チェック表、補正履歴
健康確保 月80時間超の該当者への通知と面接指導の案内 通知記録、面接指導の実施記録
休暇 年5日取得の管理と年次有給休暇管理簿の整備 管理簿、未達者への時季指定の記録
賃金 月60時間超50%を含む割増率が給与システムに正しく設定 給与システムのマスタ、計算検証
記録 労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の保存と取り出し 保存規程、過年度データの抽出結果
ハラスメント 方針・相談体制・事後対応・プライバシー保護の整備 規程、窓口の周知資料、相談対応記録
ハラスメント 2026年10月施行の措置が規程・研修・窓口に反映 改定規程、研修資料、対象範囲の周知

発見事項の書き方

労務の発見事項は、個人名や部署の評価に受け取られやすいため、書き方に配慮が必要です。「営業部のA課長が部下に残業を申告させていない」ではなく、「勤怠記録とPCログの乖離を確認し補正する仕組みがなく、未申告の時間外労働が生じても会社として把握できない」と、仕組みの欠陥として記述します。影響には、未払賃金の遡及リスク、上限規制違反による罰則のリスク、健康障害のリスクを具体的に書き、重要度は社内の格付け基準に沿って判定します。格付けの考え方は指摘事項の重要度評価を参照してください。

よくある失敗と対策

協定書の「控え」だけを見て終わる

36協定の届出控えがあることを確認しただけでは、上限管理が機能しているかは分かりません。協定で定めた時間と、勤怠システムのアラート設定、実際の時間外労働の分布を並べて見ることで、初めて実効性を評価できます。対策として、協定・システム設定・実績の3点を必ずセットで確認する手続を監査プログラムに組み込みます。

勤怠記録を「真実」として扱う

勤怠データだけを分析して「上限超過なし」と結論づけると、記録されていない労働を見落とします。勤怠記録は自己申告や打刻に依存するため、客観記録との突合を経て初めて信頼できる母集団になります。PC ログなどの取得には情報システム部門との調整が必要なので、監査計画の段階で依頼しておきます。

監査人が法令判断をしてしまう

「この管理職は管理監督者に該当しない」「この言動はパワハラに当たる」といった判断を監査報告書で断定すると、監査人の権限と専門性を超えます。法的評価が必要な論点は、人事部門や顧問の専門家の見解を確認したうえで、「判断の根拠が整理されていない」「専門家の確認を経ていない」という形で報告するのが適切です。

施行日の管理がない

労働関係法令は改正が頻繁で、施行日が段階的に設定されることもあります。規程改定の担当者が改正を追えていないと、施行日を過ぎても旧規程のまま運用される事態が起こります。人事部門に法令改正の管理表があり、施行日・対応内容・完了日が記録されているかを確認するとよいでしょう。

よくある質問

内部監査部門に労働法の専門家がいなくても監査できますか?

できます。内部監査が評価するのは、法令を守る仕組みの設計と運用です。上限規制の計算方法や措置義務の構造は、厚生労働省の公表資料で確認できます。条文の解釈が分かれる論点は、社会保険労務士や弁護士に意見を求め、その記録を調書に残せば十分です。

PC ログを使った分析は従業員のプライバシーの問題になりませんか?

労働時間の把握は法令上の要請ですが、ログの利用目的や閲覧範囲は就業規則や社内規程で明確にしておくことが望まれます。監査で使う場合も、目的を労働時間管理の検証に限定し、必要な項目だけを抽出し、閲覧者を限定する運用にします。個人情報の取扱いは個人情報保護法と個人情報管理の内部監査も参考にしてください。

子会社や海外拠点も対象にすべきですか?

国内子会社には同じ労働関係法令が適用されるため、グループの人事管理が分散している場合は対象に含める価値があります。海外拠点は現地の労働法が適用されるので、日本の法令を基準に監査するのではなく、現地の法令遵守をどのように管理しているかという仕組みを確認します。

労働基準監督署の是正勧告を受けた場合、監査は何をすべきですか?

是正報告の内容が実施されているかを確認するフォローアップに加え、同じ原因がほかの事業場にも存在しないかを横展開で点検します。是正勧告は特定の事業場への指摘でも、原因が全社共通の勤怠ルールやシステム設定にあることが多いためです。

まとめ

労務監査の要点は、法令の条文を暗記することではなく、上限規制の複数の基準、客観的な労働時間の把握、年5日の年休、ハラスメントの措置義務といった「計算方法と仕組みが決まっている論点」を、データと記録で確かめることにあります。特に勤怠記録と客観記録の突合は、内部監査が全件で実施でき、第2ラインの点検を補完できる手続です。

次の一歩として、直近6か月の勤怠データから2〜6か月平均の時間外・休日労働時間を計算し、80時間を超える月がないかを確認してみてください。2026年10月施行のハラスメント対策の反映状況も、規程と窓口の案内を見るだけで短時間に点検できます。関連する取引の法令監査は取適法(改正下請法)と取引監査、体制全体の評価はコンプライアンス体制の監査をご覧ください。

労務監査の計画づくりや監査プログラムの整備についてのご相談は、お問い合わせからお寄せください。

参考資料

内部監査の情報サイトから、実務の基盤へ。

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